「ピンク・パレス」に77年ぶりの大型拡張 ザ・ビバリーヒルズ・ホテルが94席の「ザ・サパークラブ」を開設へ

ハリウッドのスターたちに長く愛され、「ピンク・パレス」の愛称で知られるロサンゼルスの名門「ザ・ビバリーヒルズ・ホテル」が、新しい社交の場を設けます。名前は「ザ・サパークラブ」。食事と音楽を一緒に楽しめる空間で、2026年終盤にオープンする予定です。ドーチェスター・コレクションに属するこのホテルにとって、1949年に建築家ポール・リビア・ウィリアムズがクレセント・ウィングを設計して以来、最も大規模な施設拡張になります。

約10年かけて練られた「街の社交場」構想
新施設の構想が動き出したのは、およそ10年前のことです。ホテルは近隣住民や関係者と対話を重ねながら計画を進めてきました。目指したのは、ラグジュアリーホテルとして格を保つことだけではありません。ビバリーヒルズの原点ともいえるこのホテルが、これからも街の日常の中心にあり続けることも大切にしています。全体の構想は、アメリカの著名デザイナーであるケン・フルクが手がけました。
ゲストは、おなじみのレッドカーペットのエントランスを通り、ロビーの左手に進むと「ザ・サパークラブ」に入れます。このクラブを皮切りに、ほかの新しい空間も順次オープンしていく計画です。予定されている施設は次のとおりです。
- ロサンゼルスの街並みを見渡せる屋外ベランダ付きのカクテルバー
- 屋内と屋外がつながったロビーラウンジ。地元の食材を使った料理やアフタヌーンティーを提供し、夜はカクテルと上質な軽食を楽しめる
- ハリウッドを象徴するホテルらしい専用のシアタールーム
- プライベート・ダイニングルーム
これらの新施設は、ホテルを代表する「ポロ・ラウンジ」「ファウンテン・コーヒールーム」「ハバナ・カフェ」と調和するように設計されています。既存のレストランやカフェについては、営業形態もデザインも変わりません。長年の常連客にとっては、うれしいポイントでしょう。

ハリウッド黄金期を今に映す「ザ・サパークラブ」
94席に絞った、親密なナイトライフ
「ザ・サパークラブ」の着想源は、往年のハリウッドにあった伝説的なサパークラブです。ケン・フルクのデザインは、ミッドセンチュリーのハリウッド黄金期にこのホテルが築いた華やかな歴史とノスタルジーを受け継いでいます。そのうえで、現代のロサンゼルスらしい新しさも取り入れています。ステージを向くように優雅なソファ席が並び、パフォーマンスを観ながら会話と食事をゆっくり楽しめる造りです。
席数は94席に限られています。アーティストやミュージシャン、映画監督、ビジネスリーダーなど、時代の美意識を体現する人々が自然に出会い、交流できる場所を目指しています。デザイン、音楽、料理、そして心のこもったおもてなしを一体にして、訪れるたびに高揚感のある夜を演出するというのが、このクラブのコンセプトです。
料理・音楽・アートの布陣
料理を担当するのは、「グッチ オステリア ビバリーヒルズ」で料理長を務めたマッティア・アガッツィです。自身のルーツであるイタリア料理の伝統的な技法をベースに、カリフォルニアの豊かな食材を組み合わせます。沿岸で獲れるシーフードや風味豊かな肉料理、職人技が光る手打ちパスタなどで、現代的なダイニング体験を提供します。
音楽のキュレーションは、ALR Musicのアレックス・ル・ルーが手がけます。レイ・チャールズやアレサ・フランクリンといったレジェンドから、サブリナ・カーペンターやドレイクまで、時代もジャンルも横断する選曲で夜を彩ります。天井には、アーティストのキャロライン・リザラガによる特注の天井画が描かれます。モチーフは、ホテルが開業した1912年5月12日の夜に、ビバリーヒルズの空に輝いていた星空です。100年以上前のホテルの始まりと新しい空間を結びつけるディテールが、クラブのあちこちに散りばめられています。
総支配人のジョン・スキャンロンは、1世紀以上にわたって世界中のゲストを迎え、数々の物語を生んできたホテルの変わらない華やかさを大切にしたいと話しています。そのうえで、現代のゲストの期待に応える空間を届けられることを誇りに思い、「ザ・サパークラブ」がこれからの世代にも受け継がれる思い出の舞台になるだろうと語っています。

東京開業も控えるドーチェスター・コレクション
ザ・ビバリーヒルズ・ホテルは1912年に開業しました。ヤシの木に囲まれたプールのほか、23棟のバンガローを含む210室の客室とスイートルーム、「ポロ・ラウンジ」をはじめとする3つのダイニングを備えています。運営元のドーチェスター・コレクションは2007年に設立され、ロンドン、パリ、ローマ、ロサンゼルス、ドバイなどで、それぞれの街を象徴するホテルを展開しています。東京では2028年に開業を予定しています。日本の旅行者にとっても身近になりつつあるブランドが、歴史あるホテルで新しい夜の過ごし方をどう提案するのか、オープンが注目されます。










